時代物の銅の矢立（全長約２１ｃｍ、墨壺径約４ｃｍ、重さ約２６０ｇ）

携帯用筆入れである矢立（やたて）です。 素材は銅もしくは銅合金（赤銅か青銅）だと思います。 装飾のほとんどない実用性を重視したと思われる矢立です。画像写真でご覧いただけるように、筆筒は３穴（下で説明）、外側に寸目盛（五寸五分まで）また、墨壺と筆筒の間には根付け吊り下げ用の瓢箪の細工がさりげなく。 筆筒部は長さ約１７．３ｃｍ、断面が楕円形で長手約１．５ｃｍ、短手約１．３ｃｍ、墨壷は蓋部分の径約４ｃｍ、底部分の径約３．８ｃｍ、高さ約２．４ｃｍです。銅材を贅沢に使った肉厚のある矢立で、約２６０ｇの重さです。 墨壷の蓋はガタツキなくしっかりと開閉ができます。画像写真７枚目でご覧いただけるように、筆筒部は金属板（銅？）により３穴に仕切られています。仕切りは奥まで入れられています。筆二本と和紙切りを収納できるようにしたものだと考えられます。 ネットで、仕切りが一つで２穴の矢立について、次のような面白い記事を見つけました。 『一見筆が二本、ところが二本の刃物が、一本は両刃で和紙を切る刃物が、もう一本は片刃で小刃か小柄（こずか）が仕込まれた矢立であった。矢立は携行しても怪しまれる事もなく、当時（江戸時代でしょうか）は刃物を仕込む者も多かった。勿論一本は筆もう一本は刃物といった矢立も。』 刃物が仕込まれた矢立はサイズも大きくなるでしょう。出品の３穴の矢立は実際どうであったかは分かりません。 矢立の表面には墨他の汚れが残り、目立ちませんが線キズ、緑青などもありますが、凹みや変形ガタツキなどはほとんどなく、墨壷の蓋もゆるくなくしっかりと開閉できます。良好な状態の美品と言っていいと思います。 使用されていた時代（江戸か明治か）は分かりませんが、日本の文化遺産の一つとしてアンティークコレクションに加えていただければ幸です。

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